第32回IRATAトレーニング 3日目

8月29日 IRATAトレーニング3日目
「ディフィカルトエッジ」の通過をやりました。
ロープ損傷のおそれがある鋭角部の通過です。
屋上から壁面にアクセスする場合、笠木の通過がこの「ディフィカルトエッジ」に該当しますが、ビルの窓拭きの「ブランコ作業」で普通にできます。
しかし、キャットウォークの「ディフィカルトエッジ」すなわち壁のない空間への下降は困難で、「ブランコ作業」の範疇を超えています。
「ブランコ作業」は技術的に限界があるので、IRATAでロープアクセストレーニングを積む必要があります。

シャープなエッジからロープの切断を防ぐ方法を教えます。

産業用ロープアクセス(ロープ高所作業)では、EN- 1891タイプAの規格に適合したセミスタティックロープを使用します。
当該ロープの破断強度は、規格で22kN以上と定められており、直径11㎜の場合、メーカーが示す最小破断強度は一般的に30kNです。
たかだか作業者一人の体重で(レスキューの場合は二人ですが)切れるようなヤワなモノではないのですが、刃物との接触は危険です。
事実、ステンレス製の雨樋のシャープなエッジに接触してロープが切れてしまい、墜落死亡災害が発生してしまった事例は、東京のガラスクリーニングの現場で頻発し、話題になりました。

養生を施す前に、ロープアがエッジに接触して、切断してしまう可能性があります。

再発防止対策として「適切な養生の設置」が考えられましたが、「養生」を施す前に作業者が足を滑らせる等によりバランスを崩す可能性があり、ロープがエッジに接触してしまう危険性が大きな残留リスクとして残りました。
あれから9年… いまだガラスクリーニングの協会・団体からは明確な回答は出ていません(リスクアセスメントが終わっていません)が、次回のFTGロープアクセス講習会(8月24日のビッグロック日吉店及び9月21日のアルテリア)で、当該リスクを許容範囲まで低減した安全に下降できる方法を教えたいと思っています。
それは、ロープをシャープなエッジに接触させずに下降する方法です。

興味のある方はご参加ください。

今月のロープアクセストレーニングについて

橋梁でも宙吊り事故の可能性はあります。

来る5月25日金曜日、ビッグロック日吉店いおいて、定例のロープアクセストレーニングを開催します。
最近の、東京と大阪で連続して発生したビルの外壁宙吊り事故を再現し、救助訓練を行う予定です。
消防のレスキュー隊が救助に時間がかかりすぎてしまったのはなぜか?救急車が現場に到着するまでに短時間で要救助者を地面に降ろすにはどうすればいいか?など、いろいろ検証してみたいと思います。
じつはロープ高所作業は、外部からの救助を期待するが困難な作業でなのです(とくに日本の消防にはムリ)… ビルの壁面はもちろんのこと、風力発電機しかり、橋梁しかり…
同僚の命は自分たちで守る!といった覚悟と実力がなかったら、ロープ高所作業の安全は確保できないものなのです。
厚生労働省は、オンサイトレスキュー(作業チームによる救助)を露骨には要求していませんが、「ライフラインは地面まで到達させること」と定めています。

ビルの宙吊り事故を再現してみました。

ライフラインは下降距離(ロープの長さ)にもよりますが、10階建てのビルの高さにおいては地上5m~6mに達したら、もはや墜落防止の役に立たないことは物理が証明しています(衝撃荷重によってエネルギーアブソーバーが伸び、ライフラインも伸び、結局、作業者は地面にたたきつけられてしまう!)
この物理を、霞が関が知らないはずがありません。
それでも荷重の掛かっていないロープ、すなわちライフラインを地面に到達させよ命じているのは、ライフラインを救助用ロープとして使用することを想定しているからにほかなりません。
ロープ高所作業は、もともとビルメンテナンス業の「ブランコ作業」及び土木の「のり面作業」の安全確保のために法制化されたものなのですから、関係団体は、もっと技術的な問題に取り組んでもらいたいと思います。(このごろテクニカルな話題はまったくなし!)
ご安全に