アルゴ、ロープアクセストレーニング2日目

12月12日、アルゴプレストさんで2日目のロープアクセストレーニングです。
昨日は、ロープ高所作業特別教育を受講された方お二人が、レベルアップのために受講されました。
今日は、レベル1のノリさんとレベル3のトゥトゥさんが久々のトレーニングということで、リフレッシュトレーニングです。
ナミさんには、ホーリングでたくさん汗をかいていただきました。
ご感想を訊ねると、痩せる思い…とか♪
こうしたトレーニングは、出来るかできないかということよりも、なんでこうなるのか考えて行動できるようにすることが大事で、教え方に工夫がいります。
そして、複数ある手法の中でいちばんリスクが低い手法を選択できるように指導することがインストラクターには求められます。
それができない指導者は、インチキラクターと言われても仕方がありません。
ご安全に!

「もやい結び」がマニュアルにならないもう一つの理由

過去に「もやい結びが、危険といわれる理由」について書いたことがありました(2015年9月10日の記事)が、一昨日、もやい結びは船舶を係留できるほどの高い信頼性を有し、正しく使えば何の問題もないはずです。独自の優位性もあり(負傷者自ら片手で結べるなど)、やはり正しい使い方を知っておくべきものだと思います。率直な感想として、この記事の最後は『正しい解説が載ることを願ってやみません』
というご投稿を頂きました。

サツマ編み

なるほど十分な強度があって、片手で結べて、正しく使えたら幸いです。
でも、「もやい結び」に限らず、作業中にロープの結び目が解けて作業者が墜落した死亡災害は、これまで何度も発生してきました。
高所作業ですから、墜落災害の結果は悲惨で、リスクの大きさは最大です。
それでは、なぜロープが解けたのでしょうか?
私は、結んだから解けたのだと思います。
結ぶ必要がないロープが、独りでに解けることはありません。
どういうことかというと、ロープの末端に「解けない輪」を作って使用すればよいのです。
解ける恐れは生じません♬
昔から三つ縒りロープは「サツマ編み」で輪を作り、使用されてきました。
この「サツマ編みによる輪」も結索術の一つですが、一旦結んだ「サツマ編み」は解くことなく使用できます。
これが私の言う「結ぶ必要がないロープ」です。
カーンマントル構造のロープは「サツマ編み」ができないので、メーカーは縫製処理による輪を作り、ユーザーに提供しています。
これも「結ぶ必要がないロープ」ですが、「サツマ編み」及び「縫製処理」による輪がないロープのほうが一般的で、「もやい結び」等の結索が必要なのは紛れもない事実です。
だからといって、作業中に何度も「結ぶ・解く」を繰り返したら、いつかヒューマンエラーによって、ロープが解ける事故が発生してもおかしくありません(過去の事例が証明しています)
作業開始時に結んだロープは、作業終了まで解かないほうがリスクが低いのです。
ロープの端に輪ができる結索で、作業中に解く必要がないモノの代表格は、セブンノット、エイトノット、ナインノット、テンノットの4つです。
セブンノットは「二重ひと結び」のことですが、大きな負荷がかかると結び目が固くなってしまい、解けなくなってしまうので、実際に使用されることはありません(ガイド結びといわれ登山で使用されていた時代もあった)
エイトノットは「二重8の字結び」で、セブンノットに半ひねり加えて結び目が固くなるのを防止したもので、今日広く使用されています。
ナインノットは「二重8の字結び」に半ひねり加えたもの、テンノットは「二重8の字結び」に一ひねり加えたもので、共に結び目が固くなるのを防止するのが目的で、ロープに大きな負荷がかかるレスキュー等で使用されます。

さて本題の「もやい結び」です。

「もやい結び」はロープの端に輪を作るのが目的の結索ではありません。
ロープを支持物に直接取り付けるための結索です。
作業中に何度も「結ぶ・解く」を繰り返すときに有効です。
コネクタ(カラビナ)が不要な分、おカネもかかりません。
しかし前述の「作業中に解く必要がない結索」と比べたら、ヒューマンエラーによる事故が発生する可能性は高いのです。
同じ目的で、複数の手法がある場合、リスクの低いほうを採用するのがリスクアセスメントというものです。
ですから「もやい結び」は、ロープ高所作業のマニュアルから除外されて当然なのです。
麻・棕櫚・木綿がロープの素材だった時代、結びの王様といわれた「もやい結び」は、ナイロンが素材の主流になった今日、カビの生えた結索術になってしまいました。事実、人体確保で「もやい結び」をそのまま使用する人はいません。
作業余端をくくって補強する方法がありますが、何かを加えないと安全が確保できない結索は、マニュアルとして推奨できるものではありません。
「もやい結び」は「ブーリン結び」とも言われ、「変形ブーリン」という名前で、形を変えて今に伝わっています。
きわめて合理的な結索ですが、教えるのが難しく、マスターするのも困難なので厄介です。
別名タックドブーリン(鋲打ちブーリン)ともいいますが、多くの人は鋲を打って補強する技を知らないようで、結び目がゆるゆるなのをよく見かけます(写真の白いロープの結索)
これでは、何のための「変形ブーリン・タックドブーリン」なのか分かりません。

今月のビッグロック日吉店におけるロープアクセストレーニングは25日です。
奮ってご参加願います。

滑るロープは こうして使え

「新品のセミスタティックロープは滑るから濡らして使え」とか「一度洗ってから使用するとよい」などと、よく聞きますが、製造工程で使用する潤滑油がロープの表面に付着することで、滑りやすい現象が発生するようです。
エーデルリッドのロープでは、そんな現象は見られませんが、ペツルのロープはよく滑ります。
熟練者の間では、この滑りやすい現象を喜ぶ傾向がみられますが、初心者・初級者には注意が必要です。
下降に際しては、下降器具とロープとの相性を確認し、もし滑るようであれば、エキストラカラビナを使用するなどして摩擦を増やす工夫をしてください。

ご安全に