アンカー設置作業の 安全の良否の検証

明けましておめでとうございます
本年も宜しくお願い致します

早速ですが、年明け早々 渋谷区の某マンションにおいて、窓ガラス清掃のためのインフラ整備計画が持ち上がり、ロープ高所作業で何とかならないかとの相談がありました。
そのため、作業者が天井伝いにボルトを打って進む工法の、安全の良否の検証を、ビッグロック日吉店で行いました。
現場は、高さ地上60mで、しかも約1.5メートルのオーバーハングです。
ケガ等により、作業者が動けなくなった場合のリスクを考えてみると、許容できない大きさなので、現場の作業チームによるオンサイトレスキューを、あわせて検証してみました。
結果は、以下に示す写真のとおり作業可能で、安全も十分に確認できました。
救助にかかる時間を短縮するための改良点も見つかりました。

捕捉しますが、当該現場における はしご車での救助は高さ的に無理で、車両の乗り入れも困難でした。
東京消防庁の優秀なレスキュー隊でも こんな救助は対象外である理由は、高所作業は足場のある環境で行うのが原則だからであり、消防が行うレスキューは規則に則って普通に作業を行っている人が対象だからです。

いうまでもなくロープ高所作業は、足場の設置が合理的でない場合に採用される特殊な手法であり、そんなロープ高所作業を安全に行うためには特別な訓練と資格(IRATAトレーニングとライセンス)が必要なのです。

皆様、今年もどうぞ ご安全に

ロープにぶら下がった状態で天井にハンマードリルで穴を揉みます。

ボルトを設置してロープをリアンカー状態に取り付けます。

作業者はリアンカーに取り付けたロープに移動します。

ハンマードリルで二つ目の穴を揉みます。ボルトの間隔は45㎝

ボルトを設置してロープをリアンカー状態に取り付けます。

作業者はリアンカーに取り付けたロープに移動します。

移動にはアイディを2個使用します。クロールは救助が困難になるので使用しません。

水平移動はエイドクライミングのほうが簡単かもしれません。

あえてエイドクライミングを避けたのは救助が面倒になるからです。

ハンマードリルで三つ目の穴を揉みます。ボルトの間隔は45㎝

ボルトを設置してロープをリアンカーに取り付けます。

作業者はリアンカーに取り付けたロープに移動します。

ケガ等により作業者が動けなくなったことを想定して救助の開始です。

救助者はロープを登高をしていますが実際には下降でアクセスします。

救助者はボルトとリアンカー伝いに要救助者へ近づきます。

救助者はボルトとリアンカー伝いに要救助者へ近づきます。2

救助者はボルトとリアンカー伝いに要救助者へ近づきます。3

救助者はボルトとリアンカー伝いに要救助者へ近づきます。4

要救助者の下降器具をコントロールしてスナッチレスキューの開始です。

いわゆるロープトゥロープトランスファで、中級者レベルの技術ですが…

アイディレスキューなので、IRATAレベル1の免許で容易にできるはずです。

要救助者側のロープをリリースしました。あとは二人で降りるだけ

当該作業の指揮者にはIRATAレベル3の免許と同等の技術が必要です。

 

今年最後のトレーニング

年の瀬も迫った12月21日、ビッグロック日吉店で今年最後の産業用ロープアクセストレーニングを行いました。
参加者は来年IRATAレベル1にチャレンジする人、レベル2にチャレンジする人、そして全く初めてロープに触る人など レベルはさまざまで、神奈川県、東京都、群馬県、茨城県、北海道から合計9人が集まりました(職業も 風力発電系、造園業、大工、煙突ヤ、ビルメン業などさまざま)
今年のIRATAは、レベル2とレベル3の有資格者が大幅に増えた年でしたが、来年もますます増えることが期待できます。
IRATAの目指すところは安全作業と無事故無災害ですから、優れたテクニシャンとスーパーバイザーが増えることは大変喜ばしいことだと思います。
今年も残すところあとわずかです。安全第一で行きましょう。
よいお年をお迎えください。ご安全に

 

墜落制止用器具だけに頼った作業は 墜落のリスクが最も高い

周知のとおり、来年2月から安全帯の使用が原則禁止になり、墜落制止用器具(フォールアレストハーネス)の使用が義務化されます。
要は、墜落の危険から作業者を保護するフォールアレストシステムがISOで定める国際標準と同等になるということで、ペツル製品のユーザーには何の問題も生じません。
これまでの安全教育やKY活動では「安全帯を使用すれば安全が確保される」とよく言われてきたものでしたが、実際には安全帯を使用しても墜落災害は防げなかったことから、このような法改正となったのでしょう。
だからといって「安全帯はいけません。安全は墜落制止用器具を使用すれば確保されます」と論じたりしたら、チコちゃんに叱られます。ボーっと生きてんじゃねーよ

なぜなら、墜落制止用器具による作業者の保護すなわちフォールアレストシステムは、リスクアセスメントにおけるリスク低減対策では最低レベルの「保護具の使用」にすぎないからです。
高所作業において「墜落制止用器具の使用」は最後の砦であり、これが抜かれたら墜落災害の発生です。

したがって、墜落制止用器具に頼る前に、効果の高い根本的対策または工学的対策を講じる必要があるのです。
やむをえず墜落制止用器具に頼る場合は、下方のクリアランス確保(墜落の途中で障害物に激突しないこと)および宙吊りからの救助対策が万全でなければなりません。
とくに足場の不安定な作業環境で墜落制止用器具のみに頼ると、危険きわまりないことは以下に示した写真でわかるでしょう。
ご安全に

足を踏み外したり手が滑ったりしたら間違いなく墜落します。こんなのは作業禁止です!

墜落制止時にランヤードがシャープなエッジで切断する高い可能性があります。作業禁止です!

他のランヤードで体を支えて墜落を未然に防止する必要があります。(ワークポジショニング)

U字吊りで体を保持して墜落を未然に防止する必要があります。(ワークポジショニング)

低い姿勢になることで高いリスクのフォールファクターを低く抑えることが可能です。

端部は墜落の可能性が高いので墜落制止用器具だけに頼るのは不安全です。

墜落制止用器具を使用しても リストレインまたはワークポジショニングで確保するほうが先決です!

端部では墜落制止用器具とワークポジショニング(身体保持器具)の併用で安全を確保します。